2026年5月16日土曜日

ボソッと(ナフサについて追記③)

 【追記③】検証:テレビで始まった政府の「ナフサ充分」発言、そのカラクリ

この記事をアップした直後、テレビのニュースを見て驚きました。高市首相が「ナフサ製品は年を越えて継続供給できる見込み(充分にある)となった」と胸を張って発表し、マスコミがそれをそのまま報じていたのです。

「やっぱりナフサはあるんじゃないか。この記事の言っていることは間違いなのか?」

そう思われた方もいるかもしれません。しかし、ここにこそ政府が仕掛けた最大の「言葉のトリック」があります。

このニュースを読み解く、決定的なキーワードはこれです。「これまで通りの量が、安く安定して入っている」わけでは決してない。

① 政府の言う「充分」の中身は「無理矢理のかき集め」

政府が「充分にある」と言い張る根拠は、中東以外の国(アメリカやアルジェリアなど)からの輸入量を「平時の3倍」に急増させたからです。しかし、これは長期的な契約ではなく、その場で高いお金を払って買い付ける「スポット(単発)購入」です。世界中でナフサの奪い合いが起きているため、価格は前年同期比で70%超も急騰しています。

つまり、政府の言う「確保」とは、「平時の何倍ものコストを支払い、無理やり数字を合わせただけ」の綱渡り状態なのです。

② 現場の答えは「白黒ポテチ」という異常事態

政府がいくら「充分で平時並み」と言い張っても、企業側はすでに限界を迎えています。

その決定的な証拠が、大手菓子メーカー・カルビーの衝撃的な発表です。カルビーは、ナフサ不足でパッケージの印刷インクや溶剤の調達が不安定になったため、5月25日出荷分から「ポテトチップス うすしお味」や「かっぱえびせん」など主力14品目のパッケージを「白黒(モノクロ2色)」に変更すると発表しました。伊藤ハムなど他の食品大手でも同様の検討が始まっています。

もし本当に「充分にある」のなら、企業の命とも言える商品の「顔(カラーパッケージ)」をわざわざお葬式のような白黒に変える必要などどこにありますか? 現場には全く「安く安定して」届いていないからこそ、企業は生き残りのためにこんな異常な苦肉の策をとっているのです。

統計上の「数字」で国民の目を眩ませる政府

政府がテレビでアピールする「充分」とは、プラスチックの中間材料の在庫まで全部ひっくるめて、「日本全体の総量(マクロ)としては年を越せる」というだけの話です。

しかし、私たち国民や中小企業が必要としているのは、「これまで通りの価格で、必要なものが、普通に手に入る(ミクロの安定)」ことです。

政府は4月30日の関係閣僚会議で、ナフサの代替調達の目処が立ったとして「年を越えて継続供給できる(充分にある)」と初めて公式に宣言しました。

しかし、その安全宣言からわずか半月ほどしか経っていない5月12日、現場のカルビーはインク不足に耐えかねて「白黒パッケージ」を発表しています。

政府が「大丈夫」と言い始めた時期と、現場が「限界」を迎えた時期が重なっていること自体が、いかに政府の「充分」という言葉が机上の空論(マクロな数字合わせ)であるかを証明しています。

物価高で家計が火の車になり、企業が色付きのパッケージすら刷れなくなっているこの現実を無視して、テレビの前で「充分にある、調達に目処が立った」と成果を強調する政府の姿勢は、やはり国民の目を欺いていると言わざるを得ません。

私たちはテレビの「大丈夫」という言葉ではなく、お店の棚から色が消え、あらゆる日用品が値上がりしていく「自分の目の前の現実」を信じるべきです。イメージや期待値だけで政治を評価するのを、今こそやめようではありませんか。



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